THE MAKING OF STAR TREK
ジーン・ロッデンベリーが語る制作ノート「宇宙大作戦」
初の日本語翻訳版書籍を刊行いたします。
B5サイズ、約500ページという大ボリュームの翻訳本。
キャンプファイヤーにてクラウドファンディング実施中!!
https://www.cyberdyne.co.jp/trek_cf

■スタートレックのはじまり
脚本家出身のテレビプロデューサー:ジーン・ロッデンベリーによるSFテレビドラマ『スタートレック』(1966年9月―1969年6月)は、科学に基づいた技術予測や緻密な世界構築と大衆娯楽性を忘れないエンターティンメント性により、人類が生み出したSFの歴史に燦然と残る傑作となりました。
その後7作のテレビシリーズ、3作のアニメシリーズ、そして13作の劇場映画が作られ、60年を経た今でも多くのファンを楽しませています。
日本では1969年4月から日本テレビ系列で『宇宙大作戦』として第1シーズンが、その後、1972年4月よりフジテレビ系で『宇宙パトロール』として第2・3シーズンが放映されました。
同時期に公開された『2001年宇宙の旅』(1968年)、『猿の惑星』(1968年2月)などのスペクタクルSF大作の話題に押され、また画面も劇場映画に比べると明らかに地味なテレビドラマとしての見映えとなったため日本では決して多くのファン層を獲得することはありませんでした。
しかしながらロッデンベリーの未来世界のイメージ構築、そして彼が信頼したスタッフたちのアートワークはどれもすばらしく決してSF大作映画と比べても劣っていないSF考証が詰め込まれ折り重なっていたのです。
■本格的な解説書の刊行
今回の翻訳原書『ザ・メイキング・オブ・スタートレック / THE MAKING OF STARTREK』(1968年/米国バランタイン刊)は、ロッデンベリーと彼のスタッフが如何にして遥か未来、遥か彼方の宇宙空間に存在する物語と世界を作っていったかを解説した本です。
米国では放送中に刊行された現場からのリアルなレポートとして多くのファンに読まれ、英国・カナダでも刊行され、さらに後々、数回の改訂増刷が行われました。
まさに全世界のスタートレックファンいわゆるトレッキーたちのバイブルとも言うべき名著なのです。
同書はSFドラマ愛好者向けであるとともに、1960年代に米国ではどのようにしてテレビドラマが企画開発され、オンエアまでの道程をたどっていたかが解る娯楽放送番組の制作過程の解説書でもあります。
ドラマがめざすテーマとキャラクター描写、その映像世界を視聴者にリアルに感じさせるための美術、衣装、メイクなどの工夫、未来世界の技術を創作するために必要な手順、そして限られた予算の中で番組を成立させるための創意工夫。
SF映画のみならずテレビドラマの創り手にとって大変ためになるプロセスが記述されています。
■日本初の翻訳刊行への挑戦
このすばらしいテレビドラマの教科書がいままで日本で翻訳されなかったことはとても残念に思います。
もし1970年代に刊行されていれば、その後の半世紀の日本のSF映画・テレビドラマの制作陣、映像クリエーター達に対してとても大きな影響、導きを与えたことでしょう。
いや、今からでも遅くはないのではないか…。
日本のアニメ、ゲーム、マンガ、そして特撮映画やドラマが海外で大きな人気を獲得している現在、これから映像と娯楽のクリエーターをめざす若いクリエーターに向けて、このすばらしい「SFドラマの教科書」を翻訳刊行することは大きな意味をもつと考えました。
原書の版元(米国バランタイン社)へのコンタクトは不調に終わり、また偉大なる創造主ジーン・ロッテンベリー氏、その忠実なる観察者スティーブン・ホイットフィールド氏は共に故人となり御遺族との連絡も苦労しながら翻訳刊行プロジェクトはスタートしました。2018年のことです。
この原書は日本の著作権法だけの特異例「翻訳権の十年留保」の対象となっていました。1969年までに諸外国で刊行された書籍が十年間、日本で正規許諾による翻訳出版が行われなかった場合、翻訳権については誰もが自由に行うことができるという特例措置があるのです。(1970年の著作権法改正で終了)
また掲載されている写真図版についても、旧著作権法(2018年の改訂前)において、団体名義または無名表記での写真の著作物は公表後50年を経て公有知財(パブリックドメイン)となるため、1968年までに公表された写真はすべて自由に掲載できることになりました。
もちろんCBSテレビジョン、パラマウント映画(創始のデシルプロダクションを合併吸収)へのリスペクトを忘れることなくアクナレッジメントのページを作成し、感謝の辞を示します。
■原書に比べてはるかに大きな版面と装丁 そして電子化へ
これらの著作権法に助けられ、本書は底本原書に対して面積比で2.4倍の大きさに拡大し図版も追加補充して読みやすいテキストブックとして再構成しました。
これほどの内容、有為なレポートであるにも関わらず、原書は安手のペーパーバックシリーズのみでの刊行でした。
SFファンにとって馴染みのあるパルプノベルの形式のラインナップでしたが、その内容は五十年の時を経ても鈍ってはいません。いえ半世紀の歴史をひもとく貴重な資料としてますます輝きを増していると感じます。
こうして我々は「図書館にも収蔵できる大判かつ上製本での刊行」も進めることにしました。普及版と堅牢上製本のふたつを刊行いたします。
さらに21世紀という時代に合わせて、いつでもどこでもスマートフォンやタブレットPCまたはデスクトップPCで読むことができる「オンライン電子ブック」にも拡張いたしました。
『スタートレック』劇中のプロップに登場する電子タブレット端末で読めるように。
■原著作物の再刊と改訂の提案について
バランタイン社刊『The Making of STARTREK』はすべての「スタートレック」世界の創作の原点を忠実に描いたドキュメンタリーであり、テレビ番組の成立プロセスを解説した教科書です。
ところが刊行から半世紀が経った現在、同書は絶版状態となっており、Kindleなどの電子書籍で読むこともできません。初版(1968年)のバランタイン社、改版のデルレイ社(1977年)の後、英国のタイタンブックス社刊行の最新版は1991年。
以後、30年以上発行されていません。
欧米、いや全世界の若いトレッキーたちは古書で手に入れて読んでいる状態です。
また原書は英国版が少し大きな判型で刊行されたことを除いて、数回の重版はすべてペーパーバックで刊行されました。そのため掲載されている予算表、香盤表などの制作諸表をしっかりと読むにはペーパーバックはあまりに誌面が小さく読みづらいのです。
これだけの名著が読みづらい判型で、しかも絶版状態。
2010年頃より上記のみっつの版元にメールを出してみましたが、反応はありませんでした。
重版の予定はないのか? もっと大きな判型で出さないのか? 翻訳権のエージェントはどこなのか? などを訊ねたのです。
■翻訳権の獲得について
本書『宇宙大作戦の誕生』は、日本の著作権法(旧法)において1970年まで認められていた「翻訳権の十年留保」を適用して翻訳刊行いたします。
1970年末まで施行されていた旧著作権法7条では「原著作物が海外で発行されてから10年以内に日本語の翻訳物が発行されなかった時、その翻訳権は消滅する」ことを定めていました。
現行著作権法(2025年時点)では十年留保は認められていませんが、現行法附則8条により現行法施行前すなわち1971年より前に発行された海外の著作物については引き続き旧法7条が適用されることとなります。
すなわち1970年12月31日までに原著作物が発行され、その後10年以内にわが国で翻訳版が発行されなかった著作物については、翻訳権は消滅しています。
実は1980年までに我が国で翻訳刊行された書籍には少なからず、この「翻訳権の十年留保」を使って原書の版元と著者の許諾なく出版されたものがありました。
この制度を使って本書は刊行されます。
■写真と図版の権利について
本書には翻訳権が消滅した原文の他、豊富な図版・写真などの画像が掲載されています。
これらの画像については無名または団体名で制作、公表された著作物と認識されますが、その著作権保護期間は1966年~1967年の公表後から50年を経て2017年にはパブリックドメインとなりました。2018年には著作権法の改正があり、その保護期間は公表後70年に延長されましたが、本書に掲載された図版・写真などの画像は改正された著作権法の影響を受けずに、旧法下において誰もが自由に複写複製して発表できる公有知財となっています。
よって本書では1967年までに制作、公表された当時の画像を多く追加して掲載しました。
■映像の著作権
ロッデンベリーとデシルプロダクションによって創造されたテレビドラマ『スタートレック』第1作(1966年~1969年)は映像の著作物として日本では公開後(放送後)70年間、その著作権は保護されます。現在、その権利はパラマウント映画社が保有、管理しています。
■著作者へのリスペクトをかたちにしたい。
このすばらしい作品世界を創造したジーン・ロッデンベリー氏、ユニークで優れた彼のスタッフ、彼らの活動と創作を克明に記録したスティーブン・E・ホイットフィールド氏には限りない尊敬の念を捧げるとともに、なんらかのお返しも考えたいのです。
クラウドファンディングでは多くの支援は難しいと思われますが、それでもおふたりの御遺族や財団へ謝礼をお送りしたいと思います。
クラウドファンディングをきっかけとして商業的出版が成立した時には、版元からは著作者に支払う印税(ロイヤリティ)相当額をお支払い頂こうと思います。
なによりもペーパーバックを大きなサイズにした本書:リバイス版の魅力を既存の版元、または新しい英米の出版社に認めて頂き、再々度の英米版での出版が復活できればと願う次第です。
■十年留保条文
旧著作権法 第七条 〔同前-翻訳権〕
著作権者原著作物発行ノトキヨリ十年内ニ其ノ翻訳物ヲ発行セサルトキハ其ノ翻訳権ハ消滅ス 前項ノ期間内ニ著作権者其ノ保護ヲ受ケントスル国語ノ翻訳物ヲ発行シタルトキハ其ノ国語ノ翻訳権ハ消滅セス
